小さなお茶会 ~じるこん堂へようこそ~

匂いの迷路をひげの指すとおり進めば 少々思わぬことに出くわしても辿りつける…らしい。

09« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»11

このページの記事一覧

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 

青池保子 『Z ツェット』 

<作品メモ>
昭和54~59年(1979~1984) 【ララ】掲載
白泉社 花とゆめコミックス
第1~2巻 昭和56年(1981年)7月 第1刷発行
(*続刊あり)
Z ツェット

エピソード1:初任務 (キーワード:青いバラ)
エピソード2:DEI FRAU AUS DDR (1本の合金ボルトとコンピュータおばさん)
エピソード3:PANZER-MARSCH (囮捜査と二重スパイ)
エピソード4:Das Fraulein,die Z liebpete (ノルウェイ娘アネリーゼとの恋)
エピソード5:BLACK-OUT (最新軍事機密・ジャギュアCCV=Ⅱとハリアー)
番外編:Zの幸運 (先輩A~Yがアラスカ送りで不在中の不幸)
あとがきマンガ:暗号名は「ほんのジョーダン」 (少佐誕生秘話)



『エロイカより愛をこめて』でNATOの将校として登場したエーベルバッハ少佐ですが、少佐には23人の部下がいます。
それぞれ部下にはアルファベットでA(アー)、B(べー)、C(ツェー)、D(デー)、E(?)、F(?)、G(ゲー)、…X(?)、Y(イプシロン)、Z(ツェット)、とドイツ語読みで序列別に呼ばれています。

(?)の発音分かる方、教えてください。
ちなみに手持ちの簡単ドイツ語会話の小冊子に「Zは‘ツ’と発音」とあります。
Z(ツェット)君が…ツ君…??
いやぁあーーー!ちょっと変ーーー!

『エロイカ~』に登場した始めの頃はA(アー)とB(べー)が入れ替わっていたり、C(ツェー)以下モブ扱いでしたが、だんだん部下たちも個性が出てきてキャラが立ってきます。
当初Bと呼ばれていた部下はその後A(アー)君となり、Aだった部下はB(べー)になっていますが、現在のA(アー)君が任務と上官に忠実で同僚とその上伯爵の手下とも時には連携し、彼らと少佐の間で若いのに10円ハゲができてしまうほど生真面目に行動する頑張り屋なのに対し、食いしん坊ですぐ休みたがる怠け者のB(べー)はいつの間にか降格されてしまったと推察されます。

C(ツェー)以下で特に異色なのがオカマのG(ゲー)君です。
かわいい女の子顔で普段からオネェ言葉を発し、少佐が嫌いな男色家の伯爵と気が合うことや、時にオカマらしい嫉妬で任務を忘れるため少佐を激怒させたりします。
少佐は他のスパイたちにもこんな部下を少佐が抱えていることを不思議がられたり揶揄されますが、

「オカマにはオカマの使い道がある」

と気にしません。
ドサクサにまぎれてばっちりメイクで少佐に抱きつこうものなら、

「早く離れんか!ばかもの!」

と怒鳴られますが、G(ゲー)君は決して懲りませんし、誰よりも少佐を男性として、何より尊敬すべき上司として慕う乙女な部下なのです。

そんな先輩たちに囲まれ、ペーペーの新米部下として頑張るのがZ(ツェット)君です。
こるちは社会的新米や新参者のことを‘ペーペー’と言うのだとここで知りました。

本編『エロイカ~』では、ハンサムだけど頼りない末っ子のような扱いですが、真面目でなかなか観察力の鋭い部分を見込まれて少佐に目をかけてもらっている部分もあるようです。
そのため先輩のG(ゲー)君に時に嫉妬されたりします。
が、礼儀正しく純粋なZ(ツェット)君は困惑しつつも、いつもいつも任務から脱線しそうな先輩たちに振り回されながらも、真面目に任務に励みます。


この『Z ツェット』は昭和54年(1979)から昭和59年(1984)にかけて【ララ】で年1回のペースで掲載された、『エロイカ~』の番外編です。

…というより少佐の日常から『エロイカ~』のおちゃらけキャラやらギャグを捨てて、諜報活動と言う時に命も懸ける仕事の緊迫感と、上層部の思惑でどんな任務も果たさなければならない組織の下っ端の悲哀や苦労をシリアスに描いたものです。
しかし、真剣であるが故の滑稽さや面白さも忘れません。
ここが、青池保子先生のキャラと申しますか、ストーリーの面白い部分であります。

Z(ツェット)君、訓練所から出てきた1年生です。
社会人1年生だと思えば親近感も増すことでしょう。
しょっぱなから少佐に、失敗したらアラスカどころかあの世行きだと脅かされて顔をひきつらせて初任務に着きます。

「鉄は熱いうちに打て、だ」 By 鉄のクラウス


まだドイツが東西に分かれて共産主義勢力資本主義勢力が凌ぎを削っている時代が背景です。

西ドイツへの石油輸出量の交渉でボンに滞在中のクウェート石油相・ザハーリ・カマール氏に対し、東側が西側の経済発展阻止のため、その交渉中止を要求したという設定です。
MFS(東独国家保安省)はそのために各国に留学中のカマール氏の14人の子息令嬢(第4婦人までの妻がいるため)の誘拐計画を脅しとして警告し、NATO情報部の任務はその誰が狙いか不明の14人全員を誘拐から秘密裏に守る、というものです。

Z(ツェット)君はその第14子のハッサン・カマールの身辺護衛を初任務で受けます。
少佐以上に長い金髪で、まだまだ甘いマスクをさらにロマンチックに演出しているはずなのですが、少佐の下で毎回罵倒され怒鳴られているとずいぶん情けなく見えてくるから不思議です。

東側のバラ愛好家で優雅なスパイ、ルシアン・ジンバリストにも

「全く基本通りで面白味がないね、新米のぼうやは…。
鉄のクラウスは型破りの大した男だが、部下にはあまり恵まれていないようだ」


とか

「美しいバラにとって病害虫は大敵だ。
ほんのちいさなものでも見つけたら手早く処理しなければならない。
NATOのウドンコ病もね…」


とウドンコ病扱いされあやうく殺されそうになり、簡単に護衛中のハッサンを誘拐されます。

「すいませんですむなら国家も軍隊もいらん!

ほざくなあほう!」


「きさまほど無能なぼけなすは初めてだよ。
(中略)きさまには軍法会議の必要はない!時間のむだだ!
(中略)見張るだけでいい。もう、きさまは何もするな!わかったな、役立たず


Z(ツェット)くんは激しく落ち込みますが、ドジで不器用でお人よしな欠点をカバーするべくして持ち合わせた情熱と負けん気で、命令を無視してひとりバラ園に乗り込み、ベテランスパイのルシアンと対峙します。
そして、任務とはいえ初めて人間を撃ち殺しその事実に呆然とします。

やってきた少佐は呆けていつまでも突っ立っているZ(ツェット)君を命令無視したことで怒鳴ったりはせず、握りっぱなしの拳銃をしまってやります。

「用がすんだらさっさとしまえ、ばか者!ほら!

---殺らなきゃきさまが殺られていたんだ。
今日は酒でも飲んで早く寝ろ」


任務はまっとうしたものの、どこか哀しく寂しい雰囲気でZ(ツェット)君の初任務はENDEとなります。



もう、すっかりスパイ映画…いえ、スパイマンガです。
ほとんど『エロイカ~』ではいわゆるヒロイン(要するに女優にとってオイシイ役?)は登場しません。
色気を振りまくB&Bの未亡人とか、かまととぶりっ子の女スパイとか、A君の美人の奥さんとか、いないわけではないのですが、登場人物としてのパンチは今いちです。
伯爵の迫力ある女装の方がインパクトあり過ぎなせいかもしれません。

このZ(ツェット)君場合、シリアスさのおかげでしょうか。
『Z』シリーズのエピソード2と4にはスパイに振り回される哀しい女性たちが登場し、彼女たちは不幸であるものの最後まで‘ヒロイン’でいられます。

特にエピソード4で登場したアネリーゼは、お互いに恋愛感情を抱いていたのに誠実であり未熟者であるが故に彼女と別れる決断をしたZ(ツェット)君を任務中に男女の関係を持ったとして少佐は厳しく詰問しますが、最後には

「---彼女もいい女だったんだろう」

と少佐にしては最大限の誉め言葉まで言わせたのです。快挙です。

「失恋した男は酒でもかっくらってみじめに泣いてりゃいいんだ。
それが別れた女へのエチケットというもんだぞ」


怒鳴るだけの上司ではないところが少佐が人気のある息の長いキャラである理由かもしれません。

こるちは街角で怪しげな宗教団体からアンケートと称して「尊敬する人物は?」と質問される度に少佐が浮かぶのですが、マンガのキャラだと説明すると困ったような顔で「すごいですね~」と意味のない反応を受けます。

変な宗教に入る前に『エロイカより愛をこめて』や『Z ツェット』を読めと反対に勧めたくなります。

おや、Z(ツェット)君が主人公なのにやはり少佐賛美になってしまいました。
しかし、仕事でエーベルバッハ少佐のような上司に巡り会えたら---。

Z(ツェット)君は幸せものだと思うのです。

この記事に対するコメント

こるちさん、こんばんわ~。ついに『Z』ですか。。。私このシリーズ大好きです^^
こるちさんも書かれている通り、少佐の魅力が一番描かれていると思います。部下を思う上司であるが故の叱咤や窮地に陥ったときの頼り甲斐は、私の中での理想の上司です。多分こういうところなのでしょう。。。いつまでも少佐に憧れるおばさんを創るのは。。。
【2006/01/14 01:00】
URL | youming #- *編集*

>youmingさん、いらっしゃいませ~。
昔読んだ時よりも、社会人になって世の中にもまれてからの方が少佐の魅力がより理解できません?w
少佐自身もストレス多い中間管理職ですし…(^^;。
【2006/01/14 15:46】
URL | こるち #- *編集*

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL
→http://ilovemannga05.blog39.fc2.com/tb.php/13-a7203b3c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。