小さなお茶会 ~じるこん堂へようこそ~

匂いの迷路をひげの指すとおり進めば 少々思わぬことに出くわしても辿りつける…らしい。

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秋里和国 『青のメソポタミア』 ④ 

第2巻
青のメソポタミア<番外編>エシュマ 荘厳な宮殿」*ネタばれ注意

アッカド王妃の隠し子カイン・アベル・サルゴン
彼の補佐官として非業の死を遂げたエシュマ・ナハリオ
これはその二人の出会いの物語である。




「宇宙から王制をなくす」
…これが最終目的のアモリ人(蛙顔の小児体型の民族)とはその為、有史以来王制のエンリルとは紛争が絶えず900年にもわたる戦いが続いていた。
野心家の成り上がり者として評判の軍人サルゴンは、その功績で少佐に昇進した頃、補佐官ナハリオと出会う。
奇しくもナハリオの名は「エシュマ」。
サルゴンが幼い頃より憧れてやまない王宮の神殿と同じ名前だった。

少佐になると将校には盾となる優秀な補佐官が付く。
補佐官の退役は30歳(“青”年では300歳?)まで。
補佐官は優秀な人材である将校を無駄死にさせないため、幼少よりの徹底した教育で、ロボットに代わる護衛として将校を命がけで守るよう感情を廃してあらゆる任務を遂行するため、一般人からは「泣く子も黙る補佐官」と言われるほど恐れられている存在でもあった。

補佐官とは実戦で適性検査期間を置いて合意できた後、王宮の神殿にて正式に任命されるのが慣わしである。

サルゴン少佐の戦地はエンリルから遠く離れた惑星“緑”。
“緑”はゴリラの惑星で、スンピカ王女(黒ゴリラ)が統治しており、“緑”とエンリルは同盟関係を結んでいる。
少数民族「白ゴリラ解放機構」による独立要求の武装蜂起に対し、王女からエンリルの宇宙開発局にその鎮圧を求める要請があり、サルゴン少佐は劣悪な環境の前線で部隊を率い白ゴリラのゲリラと戦いの日々を送っていた…。

異星のジャングルでのゲリラ戦で白ゴリラ解放機構に捕まったナハリオ達。
そこで分かったのは、少数民族の白ゴリラたちの武装蜂起を影で操っていたのがエンリルと植民地紛争の絶えないアモリ人たちだったということだった。
彼らが白ゴリラたちに打倒王制の甘い思想を吹き込み、内戦させることで武器商人として暗躍していたのだ。(敵の友は敵という図ですな)

「お前らエンリルも(略)アッカド王朝をつぶして
 人民の国家を築きあげればよいものを。

 わがアモリのように」


「アモリのように?
 独裁者の支配体制に民が貧困にあえぐような?」


(このアモリって国はどこぞの某国がモデルのような…?いえ、気にしすぎですw)
割と秋里和国のマンガではこういったプチ社会学的なニュアンスがぽろっと出てきます。
あのおちゃらけマンガの『花のO-ENステップ』シリーズでもそういった社会情勢を盛り込んだ台詞がちょろっと出てきてます。
★【秋里和国『花のO-ENステップ』全8巻】過去記事参照。

ですが、少女マンガですので、だからどうだとかこうするべきだとか深くつっこまなくてよろしいです。
もしそういうところでひっかかるとしたら、それは作者や作品に問題があるのではなく、読んでいるこちらにそういうものをひっかけるアンテナがあるにすぎないと思うからです。
だって、大昔読んでいた時には上記の台詞やシーンは単なる「いちシーン」でしかなく読者としてはさして重要な意味のあるシーンでもなかったのですしね。

最近いろいろな方面から世の中を考えるようになってきて、「これってこういうことなんじゃないか?」とか「TV報道も額面通りに受け取ってられないなぁ」とか、新しい視点を持つようになった(良くも悪くも)せいか、すぐこーゆうところに反応しちゃいます^^;。

ま、それはおいて置いて(つ¨)つノノ。



ともかくナハリオの働きによって、サルゴン少佐は九死に一生を得、白ゴリラ解放機構の鎮圧に成功する。
そうした死に物狂いの適性期間を得て、ナハリオはサルゴン少佐の補佐官となり、サルゴンは長年の望みであるエシュマ(荘厳な神殿)での任命式に出席することが叶うのだが…。




エシュマ(荘厳な神殿)での任命式は、さながら結婚式のようです。

「○○は●●の手となり足となり、その生涯を捧げることを誓います」

と神の前で宣誓するのだから。
というか、もうほとんど結婚です。
つまり、上級将校は一度に2人と結婚するわけです。
一人は普通に異性との結婚で、補佐官との「結婚」はそれとはまた意味が違うのですが、将校の意向で解任なんかも可能です。

ただし、将校が補佐官を奴隷のように扱っていいというわけでもないのです。

状況や場合によっては補佐官が上官である将校を諌めたり、その命令に逆らったりもします。
その行動原理は「それが上官である将校のためであるか否か?」という前提のもとになっています。
そこには「母星のルール」が原則原理としてあるわけですが、融通の利かない単なる石頭なわけでもなく、「母星のルール」が「上官の意向」と真逆だった場合、補佐官の思惑ひとつで上官をねじ伏せる場合もあれば、ウソをついてでも「上官の意向」に沿う行動を取ることもあります。
もっとも、補佐官は幼少から特殊な訓練を受け、悲しいとも嬉しいとも感情を感じない生きた盾として教育されて添い遂げるわけですが。

もう自分の行き方を強制されまくりの人生ですよ。
常に自分の上官のために何が最善か?と考える生き方です。

でも、マンガの中ではそう不幸そうにも見えないから不思議。
多分、お互いに「役割」や「目的」、「目標」、「立場」が明確だからある種の面倒臭い人間関係のグレーゾーンを気にしないで済むからなのかもしれないです。
実際にこんな養成所があったら「非人権的だ!」と非難ごうごうなこと請け合いでしょうが。(わたしだったら3日で逃亡するよ…)

でもですね、時々思うんですが、自分のためだけに生きるって結構めんど臭い。
他人のために生きる方がよっぽど楽だったりし…しないか。(汗)
でも、まったく自分のためだけに生きていける人って案外少ないんじゃないかと思う。
それこそ自分のためだけにはだらだらした生活しかできない人も、一度子供や要介護の老親を抱えたり、愛すべき伴侶(それがペットでも)を得たら、めきめき強くなれるって人、多いんじゃないかと。
時にそれが思想とか宗教だって場合もあり、そういう関係を「依存」とくくる場合もあるかもしれないけど。

第3部のナハリオがそうだったのではないでしょうか?
補佐官となった相方のためには眉ひとつ動かさずに汚い仕事もこなし、「泣く子も黙る補佐官」と恐れられているのに、その忠誠を誓った相手に「見放された」だけでもろく壊れてしまう。

その関係は空想上のシステマティックな主従関係でありそうで、どこにでもあるようなある種の人間関係のモデルとも受け取れます。

彼の最期は見限られたはずのサルゴン中佐の息子を戦火から救いだし、中佐に手渡したところで終わったはずです。
自分に対するサルゴン中佐の真意も知らぬままに。

文字通り、上官に「その生涯を捧げた」挙句の非業の死でした。



彼は、ナハリオ補佐官は不幸だったろうか?




そんな最期は知る由もなく、任命式後、彼らは4年に渡り15の戦地で生死を共に異星を駆け抜けるのだ。
明らかな職業的差別と上下関係からくる主従関係に見えて、でもそこにも愛は生まれるし、正面からの「愛している」という言葉だけが愛の表現ではないと、妙に感じさせる二人の出会いのお話なのです。

うーん、少女マンガって素晴らしい。

過去記事参照↓
★【秋里和国『青のメソポタミア』①
★【秋里和国『青のメソポタミア』②
★【秋里和国『青のメソポタミア』③






*おまけ*
作者あとがき(第1巻より)

地球の文明は宇宙人によってもたらされたのではないだろうか?
人類の祖として有名なアダムとエバ(私はダーウィンの進化論者だが)、
もし彼らが宇宙人だったらおもしろいんじゃない?
なんたってアダムは930年も生きたっていうんだし。
という感じでこの物語を作ってみました。


地球最古の文明といえばシュメール文明
アダムとエバが、この文明に影響を及ぼしたという話ができたらと思い、
いろいろ資料を見ていましたらシュメールの神話に、アダムとエバや
ノアの箱舟に酷似しているものがあったのです。

やった!これはもう神のお告げ。
で、『青のメソポタミア』ができました。

サルゴン王のことですが、この人の出生は割と謎めいているんです。
イアンナ神の巫女が生んだ子で、でも巫女は子を生んだりしてはいけない
ので、その子は葦のカゴに入れてユーフラテス川に流したんだそうです。
いわゆる捨て子ですね。
出生が定かではないのでうまく宇宙人の子孫として使えたわけです。

葦のカゴで川に流されるなんて、まるでモーゼじゃないと
思うでしょうが、どうも聖書の方がサルゴン大王の出生物語を
取り入れたらしいです


作品中では大王は馬に乗っていますが、当時はロバだったようです。
でもロバじゃかっこつかないものね…。(*←笑、たしかに!)

ウルザババルガルザルギシって笑っちゃう名前だけど
実在した人物ですので。
え?サルゴン中佐が友井さんに似てたって?
友井さんはアラブ人ぽい顔だったでしょ。
実は友井家にはあっちの血が混じっていまして(*←!?)
その血筋を辿って紀元前に遡るとサルゴン中佐の子孫の大王に
辿り着くという設定だったのです。

え?無茶苦茶かしら? でも マジです。





そう、『青のメソポタミア』は友井シリーズのエピソード0とも言える作品なのだ。

マンガ家さんはこーゆー設定結構好きですよね。
というか、マンガを読む読者が好きそうでもあります。
このお話の●●があのお話の祖先だったとか子孫だったとか、果てはスピリチュアル診断じゃないですが「でいてね、その方の魂の生まれ変わりなんです、はい」みたいなノリは…もぅ転げまわって喜びそうですよ、ええ。

それを知ると、改めて友井シリーズ最後のシーンがよりいっそう感慨深く感じられます。
祖先の血が彼をメソポタミアの地へと駆り立てたのかもしれない、なぁんてロマンじゃないですか。



「神よ! …もう、死んでもいいですか?」

友井さんが仰いだ空は、今日も青いんだろうか…。
でもアフガニスタンは、メソポタミアにはまだまだ遠い地ですよ。
しかも、ティグリス・ユーフラテス川流域ったら、今もろ治安最悪なイラクの中心地なのですよ。(そういえば昔覚えた名前はチグリス・ユーフラテス川だったっけ)
てか、イラクにあるメソポタミアの遺跡や遺跡や遺跡とかどーなってんだろう…(泣)。
★【イラクの地図
★【イラク地図リンク集
★【アフガニスタン地図

古代メソポタミアの神々―世界最古の「王と神の饗宴」 古代メソポタミアの神々―世界最古の「王と神の饗宴」
三笠宮 崇仁、岡田 明子 他 (2000/12)
集英社

*詳細を見る


メソポタミアの王・神・世界観―シュメール人の王権観 メソポタミアの王・神・世界観―シュメール人の王権観
前田 徹 (2003/11)
山川出版社

*詳細を見る




*過去記事参照↓
★【秋里和国弐『TOMOI』①
★【秋里和国弐『TOMOI』②


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