小さなお茶会 ~じるこん堂へようこそ~

匂いの迷路をひげの指すとおり進めば 少々思わぬことに出くわしても辿りつける…らしい。

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青池保子 『魔弾の射手』 

<作品メモ>
昭和57年(1982) 8,9月号 【プリンセス】掲載
秋田書店 ハードカバー版 P115
昭和58年(1983) 7月 第1刷発行 780円
魔弾の射手

サブタイトル:DER FREISCHUTZ

登場人物:
NATO北大西洋条約機構 西ドイツ・エーベルバッハ少佐<鉄のクラウス>

CIA=アメリカ中央情報局 下っ端ラリー・ハンソンロバート

KGB=ソ連国家保安委員会 ニコライ・ウラジミコフ准将<イワン>→フランスの<ボリス>→モスクワの<ドミートリィ>×→<ピョートル>×→オランダの<レオニード>…彼らはKGB内から西側へ情報を流す二重スパイ  ×=オレグに暗殺済

特殊捜査局=さらにKGBの内部をさぐる秘密警察組織 ソ連内最高幹部<モスクワのおじさん>、天才的殺し屋<魔弾の射手>と呼ばれるオレグ・グリヤノフ

SDECE=フランス情報局 レイモンとその上司

少佐の任務:
東ドイツにて、エーアフルト、マグデブルグ、イエナ、ステンダル各地のワルシャワ条約軍が国境付近に終結しつつ移動を始めているという事実が偵察衛星から発覚。しかし東側当局からのこの件についての発表はない。
これは単なる演習か、なんらかの意味を持つ軍事行動なのか!?
オーストリア・ウィーンにモスクワからやってくるニコライ・ウラジミロフ准将ことKGB内の大物スパイ<イワン>に接触し、この真の目的をさぐること。


キーワード:
ベートーベン♪「フィデリオ
♪ 静かに話せ 退いていろ
  目と耳が見張っている  ♪




今回は少佐ひとりの特殊任務です。
KGBの大物スパイと接触するためか、部下たちは置いてけぼりのようです。
少佐の任務は前述のように東ドイツの軍事行動の真意を確かめるためのものですが、物語はKGBの大物スパイ<イワン>が情報提供の見返りに自分の西側への亡命を要求したことで、少佐に危険な任務が当てられるところに移ります。

条件は、二重スパイであることがKGBの特殊捜査局にバレたため、<オレグ>に命を狙われている<ボリス>と<レオニード>を安全に保護すること。

危険な取引であるため、上層部に指示を仰ぐと慎重な姿勢を見せる少佐。
しかし、KGB最高幹部の亡命を西側が歓迎すると知っている<イワン>は、条件を受けなければアメリカに(亡命先を)乗り換えると巧妙に話を進め、少佐に引き受けざるをえない状況へ持っていきます。

「ありがとう少佐。私は君を信頼しているぞ!」

なるほどあんたは大物だ。
一介の少佐ごときには太刀打ちできん男だ。
あんたから見ればおれなんぞ、まだ鼻たれ小僧の部類だろうな。


「お世辞はいりません。
任務を遂行するだけです」


上層部の思惑のために命を張るのが、鼻たれ小僧の役目だと知った上で、少佐は任務のため最善を尽くすのです。


この件で、大物KGBと接触のあった少佐に近づいて協力(介入)しようとするのがCIAの若造ラリー&ロバートです。

「強引に介入した後で協力者の権利を押しつけてくる。
それがあんたらのやり方だろう」


「少佐、我々は同盟国ですよ。介入なんてとんでもない。
好意ある協力ですよ」


「確かに同盟国だな。
協力し合うのはもっともだ。

だがまず自国の利益がすべてに優先する。

おれは西ドイツ、あんたはアメリカの国益を守る立場だ」


上層部が協力の断を下せばそれに従うが下っ端の点数稼ぎには付き合えんとつっぱねます。


(だから上層部とやらはいいかげんな判断でいかげんな命令を下してはならんのですよ!)
1980年代のマンガを、最近になってやっと身近に理解できるようになってきた気がします。というか、外務省あたりに少佐みたいな骨太な人材ほしいです~。
ま、今回あまりこのCIA君の見せ場はないんですが、別の複線として登場してます。

その後、<レオニード>と接触するためにオランダ・アムステルダムに飛んだ少佐ですが、殺し屋<オレグ>を恐れるあまり疑心暗鬼になった中年二重スパイ<ボリス>に振り回されてイライラします。

長年二重スパイなんぞやってりゃ根が真っ暗になるだろうが…
まったくやりきれん中年男だ!


結局<ボリス>は殺され、CIAの若造君たちも<レオニード>と勘違いされて殺されます。
それでも少佐は最後までこの根暗な男を最善を尽くして救おうとし、そして、どうすれば彼を守れたんだろうか…とひっそりと自問します。

そうして本当の<魔弾の射手>---悪魔と契約を結んで思いのままに標的を射止めていった男---の正体を突き止めるため、オランダ・ハーグの街へ向かったのでした。




『エロイカ~』での少佐の日常的な任務は基本的に変わらないのですが、やはり基本的にロマンチック・コメディー(少女マンガですから)なので、めったに死人がでることはないし、必要以上に血を見せることもありません。

この少佐のシリアス版では、冷酷な殺し屋<オレグ>との対決もあり頭から脳漿まで噴き出す殺人シーンもありますが、凄惨な印象はありません。

「人を殺して、そううれしがるな。ばか者!

ほんの少しの差で命拾いした少佐ですが、<オレグ>に向かって呟いた時の表情は冷静ですが無表情でもなく、すこうしもの哀しいニュアンスが漂っています。
おまえもおれも鼻たれ小僧だ、とでも言いたげな。


このハードカバー版のイラストは秀逸です。
少佐にはどこかしら‘グリーン’のイメージがあるのですが、表紙と中扉のイラストにも本の装丁もきっちりとそのイメージが守られていてうれしいです。
中扉のイラストは青池保子先生の公式HP↓のトップにも載っています♪
   
http://aoikeyasuko.com/

それにしても、他のマンガ本と比べてみても分かるんですが、普通の単行本のコミックスでもなんだか異様に重い(キャラがみんな骨太で歩くとどすどす聞こえそうなほどだから…?)んですけど、この上ハードカバーなんかにしたらあーた、って感じです。
でも、この重さがまた少佐らしいです。

この記事に対するコメント

はじめまして!
リンクとコメントどうも有難うございました。
お仕事をしている割には、マンガについては素人の私ですので、ぜひともこちらでお勉強させて頂きますね。
また、遊びにまいりますー。
【2006/01/19 19:11】
URL | yosshy #.vjKhiP6 *編集*

ついに『魔弾の射手』ですか。。。昔子供の頃字が読めませんでしたよ(笑)
ハードカバーも文庫も持っています^^
シリアスですが、スパイの哀愁が漂っていて、上等の古い映画を観たような気分にさせてくれます。オレグは恋人に会うかのような感覚で少佐と対峙してますよね。
私も少佐の最後の台詞が忘れられません!
【2006/01/19 21:25】
URL | youming #- *編集*

>yosshyさま、いらっしゃいませ。
わざわざこんな辺鄙なところまでようこそ!
『エロイカより愛をこめて』他は、ドイツでも独語訳で出版されているマンガですが、イタリアではどうなんでしょうか?
少佐の「イタリアの不味いコーヒーなんか飲めるか~!」なんていう台詞もあるので反応に興味あります。情報お待ちしてます~。

>youminngさま、いらっさいませ~。
あれ!?ハードカバー版と文庫本とあるんでしたっけ?文庫本の存在は知りませんでしたが…やはり重そうですね^^;。
オレグの、14歳でスリで警察に捕まってからKGB入り、スナイパーの才能を開花させたって生い立ちもさりげなく挿入させているところがニクイです。

【2006/01/20 20:50】
URL | こるち #- *編集*

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