小さなお茶会 ~じるこん堂へようこそ~

匂いの迷路をひげの指すとおり進めば 少々思わぬことに出くわしても辿りつける…らしい。

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安野モヨコ 『さくらん』 

映画『さくらん』の原作は、『美人画報』や『ハッピーマニア』、最近では『シュガシュガルーン』『働きマン』のマンガでおなじみの安野モヨコの同名マンガ『さくらん』です。

さくらん さくらん
安野 モヨコ (2003/11)
講談社

*詳細を見る


<作品メモ>
安野モヨコ
『さくらん』(第1部:全13話)
イブニングKCDX
講談社【イブニング】
2001年(平成13年)9月号、2002年(平成14年)1、2、4、6、8、12月号、2003年(平成15年)1~5月号、7月号に掲載。
(*現在第2部は休載中で未完となっている)
2003年(平成15年)11月に初版発行
2003年(平成15年)12月 第3刷分
定価 : 857円(税別) P300

ところでマンガ『さくらん』の表紙右がわには作者の名前安野モヨコと縦書きしてあるが、その下には「庵野百世」という落款がついている。
言わずとしれたことだろうが、庵野とは安野モヨコの夫でアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督でも有名な庵野秀明の「庵野」だと思われ。
そう言えば、映画『さくらん』の中にも庵野監督出てました…。
きよ葉の初めての男は「俺だ!」「いや俺だ!」「俺だよ!」と言い張る俺だくんのひとりに出演しております。w(何やってんすか監督~!)
映画をご覧の方はそちらもご注目ください。

★【安野モヨコオフィシャルウェブサイト「蜂蜜」

★【映画『さくらん』公式HP


映画では、江戸は吉原遊郭を舞台にして描かれた遊女の中の遊女、「花魁」の物語。
もともと身売りされた幼少の頃から気の強さと負けん気が人一倍のきよ葉(*幼名「とめき」(*映画では子ども時代からきよ葉という名になっている)、花魁になってからは「日暮」)が最後には玉菊屋の花魁に昇り詰めるというある種のサクセスストーリーの様になっている。

しかしマンガではもっと暗いというか、人間の卑しい部分や逞しい部分、訳もなく不機嫌で遊女仲間の禿(かむろ)をいじめたりする、女の哀しい部分などは映画よりも強く滲み出ているかもしれない。
もちろん、きよ葉のあのさばさばしたところは同じだが、こちらももっと意地の悪い感じだ。

映画の方が色彩もキャラクターたちも華やかで玉菊屋の女将もほかの遊女たちも明るく愉快な表情を見せてくれていた。
マンガの中にある気だるげな物憂い雰囲気があまりなかったように見える。
多分、物憂いなダルイ雰囲気を払拭する勢いが椎名林檎の音楽にもあったのかもしれない。

平成風俗 平成風俗
椎名林檎×斎藤ネコ (2007/02/21)
東芝EMI

*詳細を見る


マンガには音楽がないからね。
豪華絢爛な色彩もびりびりくるような音楽も華麗な舞台装置もないマンガの『さくらん』。
では何があのマンガの魅力は何か?

それは、キャラクターの表情です。
もちろんストーリーや絵の上手さがあってこそだけども、映画との比較で優れている点を上げるとしたら、あの紙の上で描かれるキャラクターのインパクトでしょう。
そりゃあ映画の中の土屋アンナ菅野美穂木村佳乃も綺麗でしたよ、華麗でしたよ、艶やかでしたよ。
清次役の安藤政信は髷が似合いすぎてびっくりさ。

けども、まだ子どものとめき(きよ葉)が川原で同じ時頃の少女お染と泣くシーンや、新造になったきよ葉の「にやり笑い」、玉菊屋の遊女仲間、遣り手ばばあ達の人の不幸や失敗を楽しむ時のあの「ほくそ笑い」、助けてもらったきよ葉に信じて信じられる間夫がいて「随分幸せなんだなぁ…」と嫉妬する遊女仲間若菊の虚ろな顔、惚れた間夫にあっさり見切られた後のきよ葉の呆然とした表情…。

ふてくされ、妬み、恋焦がれ、信じて、裏切られて、でも笑う。

映画ではその豪華な小道具や音楽で彩られている部分をマンガでは(当たり前だが)ペン一本で表現している。
色も音もないからこそ、乱れた髪の一筋や光のない瞳や眉間のシワ1本が登場人物の心を雄弁に語るのだ。


セックスのシーンなんて、映画の方がよっぽど健全だった。
マンガの方がむしろ陰気で気だるく物悲しいのにそそる雰囲気がある。
ま、どっちが好みかは人によりけりでありんすね。




=登場人物=
きよ葉 
玉菊屋の女郎、昼夜金2分の座敷持ち。(第1話)
口もガラも悪いが、この廓のNo.3。


高尾花魁
玉菊屋の花魁。


しげじ
高尾の禿(かむろ)


光信
浮世絵師(みつのぶ)
花魁高尾の間夫。



遣り手ばばあ
遊女あがりのこわーい管理職!?
映画では廓女将のような役で夏木マリが演じている。


清次
廓の住み込み雑用係り。
マンガの中では時々「清治」となっている。


玉菊屋の旦那


玉菊屋の女将


とめき
きよ葉の幼少の頃の名前。(第2話)


女衒の虎次
とめきを幼少の時玉菊屋に連れてきた。


粧ひ(あきひ)
とめきの頃のとめきの姉女郎。
ものすごい美人だが根性悪。
当時一番の売れっ妓だった。
美人で気が強く、機転が利いて床上手。
番付ではいつも上位3番に入った花魁。


にほひ
とめきの朋輩。


浅黄裏(あさぎうら)
粧ひの客。(第3話)
参勤交代で地方からやってきた野暮なお国者(田舎者)の意。


材木問屋の若旦那
粧ひを請け出して夫婦となる。(第4話)



引込禿(ひっこみかむろ)
禿の内にて年頃十四五以上にて
名目かたちすぐれ全盛近くを云う。
傾城屋(けいせいや)の亭主、女房の傍に有りて
惣じて芸をならはしむ

北里見聞録




お染
松葉屋の引込禿でとめきの1つ年上の13歳。(第5話)
稽古場での仲間でスジがよくいい芸妓になると言われた。
おりんとは仲良し。


おりん
新造になったばかりのとめきの名。


若狭屋の旦那
御用商人の客。
花魁三雲の客だが、おりんを気に入り新造出しに金を出した。


新造といへるは
あたらしきふねにそへし名なり

吉原大全




きよ葉
新造出ししてからのとめきの名。(第6話)
(とめき→おりん→きよ葉→日暮)


三雲花魁
請け出した粧ひ花魁の後、とめきの新造出しから面倒をみてくれた姉女郎。
「粧ひはこのしろ(*魚編に祭)の昆布巻きさ。
いいのは見た目だけで味が悪い」

と言ったとか言わなかったとか…。
大人しいがプライドが高く嫉妬深い。


高野屋文左衛門(ご隠居)
三雲花魁の客。
吉原の楼主と言われている。
若狭屋の旦那を出し抜いてきよ葉の付き出しを勝ち取る。


花屋
一途できよ葉にほの字。(第7話)


梅葉姐さん
きよ葉が間夫にちょっかい出したと嫉妬に狂う。
間夫のために誓いの証に小指を切る。



惚れるも地獄
惚れられるも地獄

色がなければ生きてもゆけぬ




(第8話)
師走の13日は正月を迎えるための大掃除。
吉原でも一家総出で煤を払い終わると喜んで胴上げ、無礼講となった。


年が明けたら数えで十七
初物は七十五日
客が来る  という。



惣次郎
若狭屋の旦那の甥っ子。
商家三松屋の総領息子。
三雲花魁の客だが廓のきまりにとんと疎い。
きよ葉の間夫になるが…。


(第9話)

(第10話)

浅くさし
九度に一度は深くさし しめるなり

腹の空気出し
息を止めるなり
足の指先を上に立てふんばるなり

嘘にも気がいくと言うなり

まらたまらず
不意に気を出すなり

口びら抜けざるよに
まら頭を締めほうばりて
深くは九度
浅きは一度にして
まら頭つり皮を舌で撫でるなり




傾城(けいせい)は
ころし文句でやみつかせ

つかせのつもりが
つかせられ





若菊
間夫会いたさに7日も仕事を休んだ。(第11話)
馴染み客が引いてしまい、金に困っていたところをきよ葉に助けられるが…。


坂口様
お国者の大名侍。
三雲花魁ときよ葉を並べて、犬のふりをしたきよ葉を気に入る。





(第12話)

同じ思いをしてるからこそ

同じ地獄に落とさなけりゃ気が済まねえのさ。




泣いたら負け
ほれても負け

勝っても負け





(第13話)

だましだまされ
とうに愛想は尽きたはず

そのくせ似た姿を見れば色めき立つ

てめえにてめえで決着つけなきゃ…





「覚悟はできてんだろうな」

「ハラの虫がおさまんなくてね」




どんな

どんな顔をするのか見たかった。
泣き顔か
それともひどい悪党づらか。

それさえ見届けりゃどうなろうと知ったことか。






ああ…   鬼だ


          笑 う 鬼 だ








今まだ第2巻が出ていないため第1部にあたる『さくらん』しかないので、映画の後半が第2巻に出てくるのか分からない。

マンガ『さくらん』第1部のラストは惣次郎さまに会いに吉原を出て行ったきよ葉がとっ捕まったところで終わっている。


とっつかまってひきずりもどされ
火責め 水責めが
三日三晩

ナニ苦しいものか

どこへ行こうと同じこと

わかっただけで もうけもんさ



「よう、きよ葉」

「…」

「おめえ、こないだぬけたってのは本当かい?
どこでとっつかまったんだ、え?」






「とっつかまったんじゃありんせん。

てめえで帰って来ましたのさ」



『さくらん』第1部はきよ葉のあの乾いた「にやり笑い」で幕を閉じる。

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