小さなお茶会 ~じるこん堂へようこそ~

匂いの迷路をひげの指すとおり進めば 少々思わぬことに出くわしても辿りつける…らしい。

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荻上直子監督の『かもめ食堂』つながりで③ 

というか、ベント・ハーメル監督の「キッチンストーリー」を観たので、映画だけでなく「キッチン」という文字に連鎖反応して見てしまったのがこちら。

Jamie's Kitchen ジェイミーズキッチン
ジェイミーさんの台所だ。

DVD冒頭からだと、「大きな口」のイギリス人がカッコつけて料理を作る、とかそんなイメージだったんだけどこれは観ていて印象が変わっていった。

おもしろい!www

実にいろいろな面で勉強になるドキュメンタリーだと思う。(ドキュメンタリーなのかヤラセなのかよくわからないけどw)

ジェイミー’s キッチン vol.1 ジェイミー’s キッチン vol.1
TVバラエティ、ジェイミー・オリバー 他 (2006/12/22)
アーティストハウス

*詳細を見る


冒頭はドラマチックに展開していく。
ジェイミーというイギリスの若き有名料理人があるプロジェクトを立ち上げるところからドラマが始まる。
それは、学歴なし、職なしの若者(簡単に言うと問題児?)をオーディションで15人を選抜、経験なしの無名の若者を一年で一流レストランのシェフに育て上げるというものだ。

1000人以上の若者を60人に絞ると、それぞれの「料理に対する熱意」とか「味に対する表現力」を見るために彼らが食べたことのないような料理をテイスティングさせるのだが…。

これがひどい。
当のジェイミーが驚くほど彼らの「味」に対する反応がお粗末なのだ。
私から見ると、多く外国人は未知の料理、未知の味に対して無関心な印象があるのだけど、彼らは「食べたことがないから」口に入れたものが不気味に思えるのか、おいしいとか、酸っぱい、甘い、苦い、辛い、香ばしい、パリパリしている、etc …「味」を表現できる者がほとんどいないのだ。(60人もいるのに)

しかし、この辺りは「味」に対する知識というよりも「国語的表現力」の乏しさなのかもしれない。
表現力の乏しさを嘆かわしいと感じるのは日本もイギリスも似たようなものかもしれない。
ジェイミーは「ボクが彼らに求めるのは料理の腕じゃない、味に対する感性ややる気と熱意を重視したい」と語りつつ若者たちのその感性の想像以上の乏しさに愕然とする。
しかし、料理の技術を訓練することで感性も磨かれていくはずだとジェイミーは前向きだ。

60人が30人に、そこからさらに半分に絞られて、無職の若者15人が選ばれるところがオープニングで最も盛り上がるところだ。
1000人以上の候補者から勝ち取った「チャンス」に若者らもジェイミーも無邪気に喜びを表現する。
若者らは今の失業生活から抜け出せる!と、ジェイミーはそんな彼らを育て上げるという前代未聞の(無謀ともいえる)目標に希望を持って。



だが、ここまではまだスタートに過ぎない。
研修生にもジェイミーをはじめとする講師陣にもこの先思いがけないような試練が待ち受けているのだ。


ジェイミー’s キッチン vol.2 ジェイミー’s キッチン vol.2
TVバラエティ、ジェイミー・オリバー 他 (2006/12/22)
アーティストハウス

*詳細を見る



基礎知識のないところから料理のイロハを教えることはかなり難問のようだ。
包丁の扱い方どころか、さまざまな器具や食材の名前、みじん切りとさいの目切りの違いから教えていかなければならない。
料理をお客に出すには衛生管理という大事な知識を叩き込まなければならない。
講師の先生たちも、研修生のあまりの無知と手際の悪さに「想像以上にひどいな…」とてこずる。

この基礎知識を習得する段階ではまだジェイミーは彼らを指導しない。
ベテラン講師陣は、普段の研修だったら一話して終わるところを、三も五も説明し、さらに「どうして覚えられないんだ!?」とイラつくのぐっと我慢して何度でも繰り返して説明していかねばならない。
しかし、若者たちは講師のこの忍耐強い指導や叱責を「あいつムカつくっ!」と反発する。
まじめに取り組む、ということがクールじゃないと思うのかできないのかはたまた単に性格なのか、講師を授業中におちょくってニヤニヤ笑ったり、地味な訓練を続けていくことに飽きて授業を欠席し始める研修生も現れ始める。

冒頭で1000人以上の候補者の中から選ばれたという「ラッキー」なチャンスせっかく掴んだのに、それを理解しているとは到底思えない言動を研修生たちは繰り返す。

無職だということに配慮されてもちろん交通費は支給されているし、料理の訓練なのだから訓練中の食事に困っているとは思えない。

無職で生活が厳しいから、お金がないから、家庭に問題があるから、「行けなかった」と泣きながら語るが(でも連絡の電話一本も入れない)何度も同じ行動を繰り返し、ただ単に忘れていた、二日酔いで寝過ごしたと遅刻や無断欠席の理由を悪びれずにさも当然のように語り、挙句「電車や道が混んでいて遅れたんだから今日は自分のせいじゃないわよね」、と開き直り反省のかけらもない。

とにかくもうありえへんわ、こいつら…。

なんというかー、責任感がなく、個性とか自分自身を保守することにばかり頭を使い、プロジェクトが自分に尽くすのは当たり前と当然のように思っているようなのが見ているこちら側からも腹立たしい。

厳しい叱責にキレて暴れ暴言を吐く、停学処分になっても「あいつがオレを怒らせたからだ!」と決して自分を省みない。


私だったらとっとと退学処分にして放り出してしまうところだが、ここが講師陣はじめジェイミーの感心するところ。
ある者は「もっと厳しくするべきだ」と言い、ある者は「でも彼にはやる気はあるみたいなんだ。だからもう少しチャンスを与えてやってみようと思う」と親身にかばい、健忘症で物覚えが悪い研修生には「キミだけを特別扱いにはできないが、授業中は一番前に来て私のそばにいなさい。できるかぎりサポートするから」と冷静な対処を忘れない。
プロジェクトの最終的な責任者であるジェイミーはそれぞれの意見を聞き、研修生たちに自ら何度も電話をかけ、話を忍耐強く聴き、穏やかに彼らを説得し続ける。(電話を切った直後に「ふざけんな!」とつぶやきながらもw)

ある程度技術を教わると、彼らは本格的なレストランに修行に出される。
料理を習って1年もしない素人に近い彼らを受け入れるレストランの懐は広いと思う。
たとえ研修生の給料を払うのがプロジェクト側でも、使えなければ邪魔だし負担がかかるのはレストランの方だ。
まあ、それもジェイミーの人脈と人徳の賜物といえるのだが、そんな稀有な経験をお膳立てされても無断欠勤、遅刻、勤務中のおしゃべり、「その仕事はできない」と拒否したりと問題行動は頻発する。

手際の悪い料理にあきれてお客が「それはもういいから、こっちにして」と注文を変更してきたのを厨房で「最初っからそっちを注文すればよかったのよ!」と逆切れしたり、「あいつの言うことにムカついたから、余っていたジャガイモをどろっどろに茹でてすり潰してこっそり捨ててやったの!ほうれん草もね」と得意顔で平気で語ったり…。

修行後に厳しい女性教官が

「あなたにはシェフに向いていない何かがあるわ、やめた方がいいわ」

と至極ごもっともな意見で諭しても、

「あなたに私のなにが分かるの?決め付けないで!」

と自信満々で憤慨したり、いつまでたっても、やることは半人前以下なのに言うことだけは一人前以上だ…。

この辺りになると、料理の技術云々や彼らの環境よりも問題は別のところにあるという気がするw
よく日本でも「格差社会」だの「ネットカフェ難民」だのと「社会の弱者」という印籠を掲げて社会そのものを批判しているニュースを流しているが、「仕事がないから…」と引きこもっていることを正当化してないか?
「チャンスがあれば自分だってここから抜け出せるのに…」と24時間マンガ喫茶・ネットカフェでつぶやくなら、この『ジェイミーズキッチン』を見てみるといい。
かなり耳が痛いかもしれないが、いい反面教師にはなるだろう。



ジェイミーも当初想像していた以上に自分の立てたプロジェクトが困難だと知り、生徒たちだけでなくレストランを開業するにあたって業者や会計士たちとの行き違いにストレスを抱えながらも、どんな時も皮肉とユーモアを忘れずこの問題児たちを奮い立たせ、目標に取り組むよう説得し続ける。

はっきし言って、ここまでくると料理番組というよりも

人間どこまで忍耐できるか大作戦!

みたいになっているw
勉強になるなぁ、と思うのはジェイミーがどんな問題に直面してもいったんは飲み込んで、腹を立てながらも冷静に対処しけっして投げ出さないということだ。(このプロジェクトのために借りたお金のせいで自分の家や事務所が抵当に入っているのだから投げ出すわけにはいかないのだ)


しかし、そんなことは研修生たちはお構いなしだ。
なにかあると

「自分は困難を抱えているからできなくても仕方がない。彼はそれを分かろうともしない、助けてくれようともしない。あの人は結局私のことなんか理解できないし、信用なんてしてないのよ」

と自分を棚に上げる。(爆)
私から見ればそんな彼女はその通りに信用できないのだが。
だって言い訳ばっかりだもの、「シングルマザーだから、子供を預けているから、母親が病気だから、この仕事が自分らしい仕事だと思えないから…」など等。

相手(ジェイミー)は自分より収入があってお金持ちでセレブだから、自分以上に苦しい思いはしていないと思って言いたい放題だ。

しかーし、この番組を見ているとジェイミーを心底尊敬する。(それ以上に同情もするwよくもまあ、ここまで性格に問題のある者ばかりを集めたものだ)
研修生たち以上にやはりジェイミーはあちこち駆けずり回り精神的にも金銭的にも肉体的にも自分の持てるものをすべて投げ出してプロジェクトに賭けている。
ノリが軽いから簡単そうに楽しそうに見えるが、あの怠け者で飽きっぽく、言われたことをすぐ忘れ、カメラが回っているとせっせと働く(フリをする)がカメラがいないと掃除や地味な下ごしらえを嫌がったり、失敗を叱られると不貞腐れて責任転嫁するような問題児たちを15名(脱落して後に13名)も抱えて目を光らせ、あらゆる問題を見逃さずまとめて指導するというのは、そりゃあ相当なエネルギーがいりますよ。
というか、そんなのと毎日一緒に働くとか考えたらぞっとする。
ほんと、ストレスでよくハゲないなと思う。
多分、よっぽど心が広いのだ。
どんなに問題児であっても「彼(彼女)は絶対いいシェフになっていると思う」と信じている。(どんなにその思いの半分も彼らが理解していないとしても)
そんな風でかなり老成しているように見えたから結構な年なのかと思ったら、なんとジェイミーって去年?一昨年の辺りでまだ27、8歳だと判明。

想像してたよりずいぶん若い!
しかし、若いからこそあの無茶なプロジェクトに膨大なエネルギーを注ぎこめるのかもしれない。



問題児たちもあそこまで真剣に親身になってもかまってもらえると、それなりの料理人になっていくということだから面白い。
…んー、料理人というにはまだ早いかな、「それなりに料理を作ることができるようになる」程度だけど。


レストランはすったもんだで開業し、本物のお客さんに料理を出すというところまでこぎつけたのは、ここまで見ている限り「奇跡」のようだ。
それぐらい「無理だろう、こんなやつらがシェフなんて…」という感じだったのだから。

もし、これが日本の番組だったらレストランを開業したところで研修生たちは晴れてシェフという仕事を手に入れ「やればできるんだ!」と涙を流して感動的に終わるところだ。







だが、現実はそんな映画のエンドロールみたいにきれいな部分で終わるわけじゃない。

本当の試練は、さらにそこからまた始まるのだ。
オーディションに受かって「ラッキー」と思ったら厳しい訓練が待っていて、一年の厳しい研修を乗り越えて本物のシェフとして働くことができて「ハッピー」と思ったら、今度は言い訳の聞かないお客を相手に日々忙しい毎日が待っている…。

レストランを開業してからも脱落者は増える。
15人の合格者は研修中に13人になり、開業してからはさらに減って9人になってしまった。
それほど「現実の仕事は厳しい」ということだ。


それは新米シェフにとってだけでなく、経営者としてのジェイミーも同じだ。
TVの宣伝や取材のお陰でレストランは人気で予約もいっぱい、評判もまあまあ。
しかし問題児の気質はそう簡単に変わることもなく、ある程度技術を持ったことで自信を持つのはいいけれど、それ以上に尊大さも加わって他の従業員と衝突したり、当初予想していたよりも経費がかかり、レストランの利益はないに等しい…。


ジェイミー’s キッチン vol.3 ジェイミー’s キッチン vol.3
TVバラエティ、ジェイミー・オリバー 他 (2006/12/22)
アーティストハウス

*詳細を見る



…と、そういった開業以降も次々に起こる問題に頭を悩ますのがDVD第3弾。
さあ、今度はどうやって乗り越える!?



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