小さなお茶会 ~じるこん堂へようこそ~

匂いの迷路をひげの指すとおり進めば 少々思わぬことに出くわしても辿りつける…らしい。

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リンゼイ・デイヴィス作・矢沢聖子訳 『密偵ファルコ 錆色の女神』 

もうすぐバレンタインデー、てことでちょっとテンプレート変えてみました♪

さてと、ファルコ繋がりで強引に小説も紹介しちゃえ♪
錆色の女神

密偵ファルコシリーズ第3弾 『錆色の女神』(さびいろのヴィーナス)
リンゼイ・デイヴィス:作 Lindsey Davis
矢沢聖子:訳
光文社文庫 定価629円(税別) P419
平成11年(1999年) 9月 初版発行


舞台は、紀元71年のローマは皇帝ウェスパシアヌスの時代。
帝国のスパイとして働く自由市民のファルコ(30歳・自称男前)のお話、第3弾はどうやらスパイと言うより浮気調査とかやってる儲からない下町の探偵物語、といった趣。

ローマ帝国のお話ですが、作者はイギリスの公務員を13年勤めた経験もある方(イギリス版篠田節子氏?)で、この密偵ファルコシリーズで人気を博し、イギリス推理作家協会の【歴史ミステリー大賞】も受賞したシリーズだそうです。

もちろん原作が面白い!というのもあると思いますが、本書は訳がとっても原作にあっていたように感じます。(って原作読んでないでしょうがっ!と自分で突っ込んでおきます^^;)

でも翻訳モノって苦手なんですよぅ。なんかこうテンポが悪いのってあるじゃないですか?原作がそうなの?って思わないでもないですが、翻訳の表現力の違いで、その印象が随分変わったりしますよね。

そういった点で読んでみて、本書は最初の数ページでスッとお話に入り込めるし、紀元71年頃のローマ帝国の歴史とか全く知らなくても、牢獄から出たファルコが行きつけ公衆浴場でこざっぱりし、身分違いの恋人へレナに会う頃にはもう気分はすっかりローマ市民になっているからあら不思議!

いいですねぇ、自宅に居ながら古代ローマの町を闊歩するってのは!
ローマの8月は猛暑でうだるそうですよ、皆さま。



さて、主人公は帝国お抱えの密偵として報酬を出し渋られても仕事は納得のいくまでやり遂げるのが信条のファルコ。
ハードボイルドのスパイ物かと思いきや、小柄ながら皮肉たっぷりで小言ばばあの母親や(でも息子のために看守に賄賂を渡して保釈させたりするんですよ)、身分違いの恋人(これも美人ながら気丈で聡明)に言葉でやり込められたりして結構男はつらいよな二枚目半。
それでも仕事ではどんな美人に「お願い」されても、鼻の下を伸ばしきったりはしないで冷静に相手を観察し探りをいれます。
タイトルの『錆色の女神』とは、仕事の依頼人、美人姉妹の身内の男と婚約した魔性の女・セヴィリナという奴隷上がりの女性のことで、錆色とはその髪の色を指しています。

依頼人のホルテンシウス家はローマでも不動産業界を二分するほどの豪商であることから、自然と物語の中にもさりげなく古代ローマの土地開発・住宅事情が盛り込まれています。

例えば、不動産業者は立地が不便だとか、周囲がうるさいとか、ぼろぼろで崩壊寸前とかの難あり物件をとりあえず田舎者に紹介して貸し付けるとか、悪徳開発業者が放火して家主が全財産を失って放心しているところに土地を買うと持ちかけ、わずかな身銭で土地を買収することが横行しているとか、高級住宅街に出ている屋台はオンボロでもおいしい菓子を売っているので立ち退きを免れているらしいとか、住んでいたアパートが突然目の前で崩壊して半狂乱になって災害救助活動してみたりとか、階級社会のローマも辺境の属州に比べれば法治国家で、奴隷は30歳以上なら主人の意向で自由市民になることができるとか、恋人との結婚を考える若者(?)には市内でいい物件を手に入れることが古代ローマ時代でも重要な悩みである…、とかそういった生活感溢れるエピソードが殺人事件の謎解きの合間にさりげなく描かれています。

もちろん男女の本心を隠したままの探り合いも、機知に富んだ会話で進められていきますが、露骨なセクシーシーンもないのがかえって読んでいてさわやかな印象を残します。(シリーズ他の作品にはあるのかも知れませんが)

それよりも物語の中に出てくる食べ物に関する部分を熱心に丁寧に読んでいくと、そこで生きてる!って気がして益々気分は古代ローマ市民になれます。

例えば、冒頭いきなり

雄の兎くらいでかい。これだけ太ったやつなら、喜んでスープの深鍋にぶちこむシェフのいるローマの食べ物屋が、ちょっと考えただけでも何軒か頭に浮かんでくる。ニンニクをたっぷりすりこんだら、わかりっこない。大競技場のそばの下町の焼き肉屋なら、それに仔牛の骨の一本でも混ぜれば、けっこういい味が出せるだろう。

でもこれ、牢獄でファルコに擦り寄ってきた灰色の大きな鼠のことなんですけどね!とか、ファルコの居住区は結構雑多で、

焦げる寸前までパンを焼くので有名なカシウスの店の蜂の巣形の釜から煙がもうもうと漂ってくる

ような所だとか、高級住宅街のピンキアヌスの丘に出ているみすぼらしいお菓子の出店については、

カウンターの真中には大皿がおいてあって、大きなイチジクが丸ごと蜂蜜に浸してある。そのまわりには、思わず手を伸ばしたくなるようなお菓子の皿。まっすぐ並べず、ところどころ皿をずらしたりしてあるのは、見やすくするためだ。アーモンドを詰めたナツメヤシ、綺麗な色の練り菓子。シナモンを振ったケーキは三角や四角に切ってあって、重なった層のあいだから詰めた果物がはみ出している。おいしそうなスモモやマルメロやナシの砂糖漬けもある。ナツメグを振ったクリーム色のカスタードパイは、丸ごとのも、切って中のニワトコやイバラの実を見せたのもある。棚には蜂蜜の壷が並んでいた。イミトスやヒュブラといった有名な産地のラベルが貼ってあるが、パーティーの余興に刺激的なものがほしいなら、そっくりそのままの蜂の巣もあった。反対側の棚には、黒っぽいアフリカ風のマストケーキや、乳に浸した小麦粉をこね、串で穴をあけて蜂蜜に漬けてから、薄切りのハシバミを飾った菓子もあった。
店主のご自慢らしい鳩のかっこうをした焼き菓子を見ていると、生唾が湧いてきた。レーズンやナッツをたっぷりと詰め、シロップに漬けてから焼いたのだろう。


とたっぷり説明してありこっちまで生唾が湧いてきそうです。うう、世の女性がスイーツ大好きなのは古今東西万国共通の理のようです。

露天のテーブルについて、ゆっくりと朝食を楽しむ。パンにナツメヤシ、蜂蜜入りの暖かなワイン付きだ。

へえ~、朝からワインなんか飲むんですねぇ。

今日はぱっとしない一日だった。朝食をとり、昼はルカニアのソーセージを食す(あとで消化不良を起こした)。暑い。
 
夏だったから?

見るからに気のきかなそうな給仕が、いつ焼いたともわからないパンを一切れとキュウリのピクルスを出すには出してきたが、食べるのは外にしてくれと言った。

店の質は町の雰囲気に比例する?

「(中略)あれで完璧にもてなしたつもりでいるんだもの。暑いさなかに、煮えくりかえるようなワインを大きなゴブレットになみなみ注いで。ほんとうにお客さまのことを考えたら、小さなグラスにハーブティーを出すところよ」(Byへレナ)

元老議員の父を持つ生まれながらのお嬢様が、奴隷上がりの成金婦人のもてなしをぴしゃりと手厳しく批判してます。

おふくろが作った蜂蜜ジュースを飲みながら、ふと思った。密偵に家庭を捨てた一匹狼が多いのは、ひょっとしたら、みんな猛母から逃げ出したのではないだろうか。

ふふ、このお話がハードボイルドのようで気持ちよくしなやかなのは、主人公がふと漏らすこんな本音もあるからかも。

昼食もなかなかのもので、細かいところまで神経がゆきとどいていた。ごく質素なローマ風昼食---パンとチーズとサラダ、水で割ったワインに果物だけだが、それでいて豊かさが感じられた。三人だけでは食べきれないほどの何種類ものチーズ---山羊、羊、牛、水牛の乳で作ったチーズ、かわいらしい鶉の卵、上等の白いロールパン。ゼリーで固めた冷たいサラダには、花形に切ったラディッシュが飾ってある。目の前でゼリー型から(いくぶん芝居がかった仰々しさで)取り出したところを見ると、自家製なのだろう。デザートには、ありとあらゆる果物が出た。

これは、調査対象の錆色の髪の女・セヴィリナのもてなすランチの形容です。このランチで、魔性の女と呼ばれるセヴィリナがなかなかに聡明で魅力的な女性だって分かる気がしませんか?

まぼろしの巨大ヒラメには、とてつもなく大きな平鍋や馬鹿でかい皿がいるだろう。最新式の竈で料理し、シェフが腕によりをかけたソースをかけて、お仕着せの給仕たちが、涎をたらして待ちかまえている招待客の前に静々と運ばなければならない。食堂には楽団を呼んで、新聞に告知して…。

そして、これは前作から続く仕事の褒美として皇帝第一皇子のティトゥウス・カエサルからもらった幻の魚、ターボットを自宅に贈られて途方に暮れてる様子。
どれだけ高級食材かと言うと、まず、ターボットが水揚げされると一般市民の市場には出回らずに皇帝に献上されるほどで、そのヒラメ一匹でファルコの年収の5,6倍はするらしいとあります。

一口飲んだとたんに、わが友ペトロと味わいたかったと思った。おれの舌が確かなら、十五年物のファレルノワインだ。溶けたガラスのような喉越し、かっと熱い後味。間違いない。以前にペトロが自分の誕生祝いにおごってくれたことがある。こんな酒をおれみたいな味音痴に飲ませるのはもったいないと言っていたが、ファレルノはひとりで飲む酒じゃないというのがおれの持論だった。

このファルコも絶賛のファレルノワイン、現代でも銘酒のようですね。1800年代に害虫被害で絶滅の危機に瀕したそうですが、1960年代に復活に成功したようです。

七名様用の晩餐:主催 ノヴァス・ホルテンシウス
<前菜>
レタスとゼニアオイのサラダ
孔雀の卵
ソーセージのリング
バイア産の牡蠣ホルテンシウス風
アーティチョーク
オリーブ

<主菜>
野兎のリッチワインソース添え
ロブスターのサフラン風味
ポットロース・ポークの月桂樹冠
野生の鶴
オヒョウのパンケーキ
ウイキョウ、煮豆、リーキとオニオンのシチュー、マッシュルーム

<デザート>
ホワイトチーズ
ヘスペリデスの園の樹に見立てた果物の樹
菓子屋の焼き菓子

<ワイン>
前菜とともに ムルソム(一番搾り)蜂蜜とマラバトロン風味
主菜とともに キオス島産の赤ワインもしくは白ワインをお好みで
食後の乾杯 セティナム

「白ワインに月桂樹の葉とビャクシンの実などを加えた薄いブイヨンに牡蠣を落として…」


ホルテンシウス家に奴隷として買われたシェフ・ヴィリドヴィクスの作った献立です。このシェフも出番は少ないですがとっても渋くて好きなキャラです。

ディディウス・ファルコ主催の魚パーティー
サラダ
ターボット
サラダの追加
果物


対するファルコのお魚パーティーのメニュー。この他、

ペトロが持ってきてくれた極上のワインとか、

大皿に盛ったホワイトチーズとソーセージ、サラダといっしょに味わう生牡蠣の桶もあった。

ヒメウイキョウのソースは正解だったらしい。

とあります。
この高級食材のターボットを親戚一同でわいわいガヤガヤやかましく調理したり、皇子が思いがけずファルコの家に訪問してきても相変わらずやかましくて馴れ馴れしかったり、遠慮しないでいるため、そんな扱いに不慣れな皇子の方がちょっと困ってたりとか、飛び入りで参加したヘレナに皇子のもてなしをまかせたりとか、この辺りのがやがやした雰囲気がとっても好きです。

はっきし言うと、ここは殺人事件の謎解きにはほとんど関係ないシーンなんですが。いいんです、このどんちゃかパーティーの雰囲気がいいんです。
そんでもって、

おれの身内のいいところは、食べるものも飲むものもなくなると、さっさと引き上げるところだ。



すばらしい。このファルコの親戚たちは、全く謎解きには関係ないまま飲んで食って片付けも手伝わずに帰っていきます。
こんなことろがめっさ好きです。

どですか?あなたもファレルノワイン、一緒に飲みませんか?
ワインの絵
ワインとチョコって結構合うんですよね~♪
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この記事に対するコメント

お名前どちら?

>LICAさん?紗江さん?、いらっしゃいませ。
すんません!当方roo.to/bloog(?)ランキングには参加しておりませんので削除させて頂きました。
【2006/02/09 14:06】
URL | こるち #- *編集*

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